全建総連は人間の生活で最も大切な「衣食住」のうちの「住」の生産に携わる建設職人を中心に作っている組合です。わが国の建設産業で働く者の最大の労働組合で、かつ、日本の労働組合では4番目に多い組織数となっています。
全建総連は正式名称を全国建設労働組合総連合といい、都道府県ごとに組織された53県連・組合の連合体です。そして、連合、全労連、全労協のいずれの労働中央団体(ナショナルセンター)にも属さない中立の産業別労働組合です。
全建総連は「個人加盟の居住地組織」の形態として出発しました。企業の枠を超えたところで、一人ひとりを説得し、本人の自発性に基づく加盟を原則にしています。ですから、会社や事業所ごとにつくられている組合ではなく、個人個人が自分の意志で地域の組合に加入するのが大きな特徴です。
全建総連は1960年に結成されて以来、綱領の中で、「速やかに全国二百万建設労働者の結集をはかる」(当時)をうたい、すべての建設労働者が全建総連に結集するために活動しています。
《現況》
正式名称:全国建設労働組合総連合
住所:〒169-8650 東京都新宿区西早稲田2-21-16 高田馬場EKKビル6階
連絡先:電話03-3200-6221 FAX03-3209-0538
中央執行委員長: 中西 孝司
組織人員:2023年9月末調査 61万1995人
組織対象者:大工・左官などの建設業に従事する労働者・職人、一人親方、手間請従事者等
建設国保組合:22組合
被保険者数:100万301人(2023年3月末現在)
組織概要/専門部
社会保障対策部
社会保障対策部は、主に医療・年金・福祉などについて生存権(憲法25条)の保障をより確実なものにする為の活動をすすめています。
1.いつでも、どこでも、誰でも安心して良質の医療サービスが受けられるよう、国民医療および国民皆保険制度の拡充を求めています。
2.全建総連の構成組合では同種・同業の仲間でつくる、国民健康保険組合(全国で22の建設国保組合)を運営し、約115万人の、建設業で働く仲間や、その家族の命と健康を守っています。
3.老後の生活を保障するため、不安のない安定した公的年金制度の確立を求めています。
労働対策部
建設業の現場では、多くの労働災害が発生しており、2020年の休業4日以上の死傷者数は13万1156人(前年比4.4%増)、死亡者は802人(前年比5.1%減)となっています(厚生労働省発表)。
現場での墜落・転落のケガ以外にも、職業病と呼ばれる仕事が原因の病気があり、腰痛をはじめ、建材に含まれるアスベスト(石綿)も長い潜伏期間を経て、ガンを引き起こし、亡くなる方も多数いるものと考えられます。
労働対策部では、未然に事故を防ぐための労働安全運動、病気を防ぐため労働衛生運動を取り組んでいます。
万が一の命の綱、労災保険については、その拡充を求めまた、雇用の安定と安心して働ける職場をめざし運動を行っています。
賃金対策部
働く者の賃金は、生活の基盤を成すものであり、使用者の都合によって変動させられることなく、一定の基準・判断の基に保護されなければなりません。 しかし、建設業においては、労働者の賃金はそのほとんどが「日給」か「手間請負」であり、ボーナスや退職金の制度も不十分で、就労も不安定です。他産業の水準と比べてかなり厳しい状況と言わざるを得ません。
全建総連では、このような状況の改善を目指して、毎年、各県連・組合が足並みをそろえて「賃金の引き上げ」や「工事単価の適正化」の運動に取り組むと同時に、厚生労働省・国土交通省等の各関係省庁、あるいは各企業にも働き掛けを行っています。
また、建設業で働いている限り全ての労働者がその支給対象となる「建設業退職金共済制度」に関して、必要な手続きを行う事務組合や任意組合としての認可を受けて、その普及に努めています。
住宅対策部
今日の建築行政の変化は、住宅建築に携わる大工・工務店の仕事の環境を大きく変えつつあります。私たちは、地域に住まい、地域で仕事をしていく上で、地域の中で信頼されて仕事を続けていくため、新たな課題等にも積極的に対応すべく、取り組みを進めています。
1.新築住宅の『10年保証』(構造耐力上主要な部分と雨水の浸入を防止する部分に関する瑕疵保証)に対応した、住宅保証機構(株)の「住宅かし担保責任保険(まもりすまい保険)」の特定住宅(割引制度)として、一般の住宅よりも高い設計施工基準による「ゆうゆう住宅」を取り扱っています。仲間の仕事と職域を守り、私たちが自信を持って住民の皆さんにお薦めする「住まい手と施工者の共同指針」として、「職人憲法」の一環として創設したものです。
2.全建総連では、1978年から6月25日を「住宅デー」とし、地域住民に私たちの仕事と技能を理解してもらう日として、多彩な取り組みを行っています。 全建総連加盟の全国の組合では、6月の取り組みに加え、各地域の行事とタイアップした開催も行われています。住宅相談、独居老人宅や保育園・小中学校などの修繕のボランティア、包丁磨ぎやまな板削り、木工教室、簡単な補修やメンテナンスのアドバイス、耐震診断などの取り組みも喜ばれています。
技術対策部
広い意味で技術・技能の向上を図る・・・これを目的としているのが技術対策部です。
全建総連には、建築の様々な職種に関わる人たちが加入しています。その中でも、特に古代から現代まで続く建築大工職種の伝統的な技術・技能の継承と実践を重視し、歴史的・伝統的建築物の見学や講演、若年層を対象とした青年技能競技大会の主催 、技能グランプリ・技能五輪参加者を対象とした講習会の開催に力を入れています。
先にも記述の通り、現在は職種が細分化され、それにともない各種の公的あるいは業界独自の資格が造り出されてきています。こうした資格の取得推進にも取り組んでいます。
全建総連へ加盟している組織の中には建築科、左官科等の訓練校を運営しているところもあるので、補助金獲得を始めとした運営に関する部分について、厚生労働省への要請陳情行動を積極的に行っています。
税金対策部
消費税の引き上げや控除制度の縮小・廃止の一方で、法人税を大きく引き下げるような今日の税制改正の方向は、税格差をさらに広げます。税制は応能負担や所得の再分配の機能が働くことにより、社会の安定に寄与するものです。全建総連は国民本位かつ応能負担原則に基づいた税制確立のため、大衆増税反対や民主的で公平な税制と税務行政の確立を求める取り組みを行っています。
組織部
全建総連は結成以来、仲間の健康、生活、仕事を守るため、「闘いなくして勝利なし」を合言葉に、建設産業で働く仲間の力を結集し、諸運動に取り組んでいます。
同時に、建設産業が圧倒的未組織状態である点に注目し、「産業別組合」「個人加盟」「地域居住組織」「住民組織」「家族ぐるみ」「民主的組合運営」などの特性を生かし、「数は力」を合言葉に「仲間を増やす」ことを重視しています。同時に、大同団結と行動を基本に組合員の多様な要求に応えられる組合づくりを目指しています。
1.全建総連傘下の多くの組合では、青年部が結成されています。青年部は自分たちの独自の要求を満たすためにつくられたものです。また、青年部は仲間づくりと同時に、技術・技能の資格取得や、その向上を目指しています。そして、後継者対策の一環として、青年技能競技大会を毎年秋に開催しています。全建総連加盟組合から選手を出していただき、腕を競い合っています。
2.主婦の会の力は、全建総連の諸運動の発展にとって、運動や制度を側面から支える重要な役割を持っています。特に、全建総連の組織強化・拡大は、主婦の会の協力と支援による様々な運動参加によって前進しています。
教宣部
教宣部は機関紙「全建総連」(月1回刊)、組合員手帳、速報ニュースの編集・発行をしています。また加盟県連・組合での機関紙編集、宣伝物の作成、学習活動の交流を図っています。
機関紙「全建総連」は1日付です。機関紙には全建総連の方針、活動内容、全国の組織の取り組み、建設産業の情報などを紹介しています。
また、ホームページ・携帯サイトの運営・管理も担当しています。
事業推進室
建設キャリアップシステム(CCUS)の登録、普及・促進の取り組みをサポートして います。
また、組合活動の原点である助け合いの理念に基づいて活動を行い、組合員の生活の安定と生命・安全の補償のために次のような共済を運営しています。
共済活動は全建総連共済 Net を参照(リンク先 https://1bb.jp/kyosai/index.html)
1.全建総連年金共済「まごころ」
公的年金の補完として、全建総連の組織力を活かして作り上げた制度であり、優れた貯蓄性が盛られており、年金及び一時金として受取ができます。
2.あんぜん共済
全建総連の組合員で、政府労災に加入している事業所、中小事業主、一人親方が加入できる労災保険上乗せ補償制度です。 業務上災害・通勤災害から職業性疾病まで補償します。ただし、アスベストに起因する職業性疾病は対象外です。
3.現場賠償共済「パートナー」
組合員が請け負った建築工事や増改築工事に伴って、第三者の身体・生命を害したり、第三者の財物を損壊したことによって発生する賠償事故を幅広く補償します。
4.全建総連「サポート(普通傷害保険)」
ケガによる入院および手術を保障する団体制度です。加入には、組合(単組・支部 など)での全員加入が必要です。
5.全国国民年金基金
老後の生活の安定のために、国民年金の上乗せをする厚生大臣(当時)の認可を受けた公的年金制度です。
掛金は一定で全額社会保険料控除、さらに年金にも受取保証があり税制上の優遇措置があるなど有利な制度です。全建総連では国民年金基金への加入勧奨を行って います。