建設現場に従事する労働者・一人親方は、建退共に加入しましょう
他産業で働く労働者の多くは同じ事業所で継続して働いているため、事業所ごとに社会保険、労働保険、退職金をはじめとする福利厚生制度の恩恵を問題無く受けられます。しかし、建設現場で働く労働者は、現場や事業所を頻繁にかえながら働いていることが多いため、事業所ごとの対応では十分な適用が受けられず、特に退職金については就労期間の問題などから個別企業ごとの支給対象とはなりにくいという面があります。
また、『一人親方』と呼ばれる、事業所に雇用される形式での就労ではなく、自分で仕事を請けて働く人達も数多くおり、実態としては他の雇用されている現場労働者と変わらない就労実態であるにもかかわらず、更に厳しい状況に置かれています。
建設業退職金共済(建退共)とは、このような問題点を解消し、建設現場で働く労働者・一人親方の皆さんにしっかりと退職金が支給されるよう、1964年、国によって設立された退職金制度です。
全建総連は、建設現場従事者の労働・福祉対策として建退共制度の設立当初から、普及促進等に取り組んでいます。
※全建総連作成の建退共チラシはこちらからダウンロードできます。
加入から退職金を受け取るまで…まずは共済手帳を発行してもらいましょう
全建総連加盟組合なら、加入・事務手続きも簡単です(建退共任意組合・事務組合)
事業所に雇用されている労働者の加入方法
①雇用事業主に建退共共済手帳の発行(事業所としての加入)を求めましょう。
※全建総連加盟組合では事業所の加入・事務手続きを代行する「事務組合」の資格を有している組合もありますので、不明な場合は組合に相談してください。
②本人(労働者)の氏名が記載された共済手帳が発行されます。
一人親方の加入方法
①全建総連加盟組合(建退共任意組合)に建退共加入を申し込みます。
②任意組合から本人(一人親方)の氏名が記載された共済手帳が発行されます。
「労働者(一人親方)が働いた日数に応じて事業主から共済手帳に証紙を貼ってもらい、その枚数をもとにして労働者が受け取る退職金の額が決まる」という仕組みですから、まず、労働者(一人親方)が建退共の『共済手帳』を受け取ることが必要です。
共済手帳は、本人に対して交付されます。現在、全国で約220万人の建設現場従事者が共済手帳を持っています。
掛金の納付方法について
掛金納付は証紙または電子ポイント
掛金は就労日に応じて日額で納めます。掛金日額は310円です※2021年10月からは320円に変更。共済手帳1冊で、250日分の掛金を納めることができます。掛金の納付方法は証紙方式または電子ポイント方式です。
最初(1冊目)の共済手帳には、国から50日分の掛金補助が付いています。250日分の掛金を納めた共済手帳は建退共に更新手続きを行い、新しい共済手帳を発行してもらいます。掛金の納付実績は、建退共事業本部で記録され、一定期間ごとに本人へ掛金の納付状況が通知されます。
労働者の掛金納付方法について
雇用事業主が就労日に応じて掛金を納めます(民間・公共工事問わず全ての現場が対象となります)。労働者の掛金負担はありません。公共工事では元請が掛金(証紙)を負担します。
一人親方の掛金納付方法について
任意組合へ就労日に応じた掛金を納めます。一人親方の掛金は本人負担です。公共工事では元請が掛金(証紙)を負担します。事業所に雇用されて就労した場合は、雇用先の事業所が掛金を負担します。
退職金の受け取りについて
建設現場に従事しなくなったら、退職金を請求し受け取ります。労働者の方が独立して事業主となった場合、一人親方の方が従業員を雇用する事業主となった場合なども、退職金の請求が必要となります。
※退職金を請求するには、12月(21日分を1ヶ月換算)以上の掛金納付日数が必要です。
退職金の目安について…予定運用利回りは1.3%
納付月数 | 掛金総額 | 退職金額 |
12月(1年) | 80,640円 | 24,000円程度 |
60月(5年) | 403,200円 | 414,000円程度 |
120月(10年) | 806,400円 | 894,000円程度 |
240月(20年) | 1,612,800円 | 1,933,000円程度 |
360月(30年) | 2,419,200円 | 3,039,000円程度 |
480月(40年) | 3,225,600円 | 4,268,000円程度 |
※この早見表は、現行(2021年10月以降)の予定利回り及び掛金日額320円により、 証紙又は退職金ポイントの252日分を1年と換算して計算した退職金の額です。
※ 2021年10月以前から掛金を掛けている人の退職金は、それぞれの掛金日額ごとに、 その予定運用利回りに応じて、別に計算されます。
※退職金額は、費用、収益及び経済事情等を勘案して予定運用利回り及び掛金日額が 見直されることにより、変動することがあります。