2024.06.14

「第3次担い手3法」が成立

両院での参考人質疑の出席は全建総連として初

 議員立法の改正公共工事品質確保促進法(品確法)・入札契約適正化法(入契法)・測量法が、12日の参議院本会議で可決、成立しました。政府提出の改正建設業法・入契法が7日に成立しており、今国会で建設業法、入契法、品確保の3法が一体的に改正されました。2014年の担い手3法、19年の新・担い手3法に続く「第3次担い手3法」が成立したことになります。

 建設業法と入契法の一部改正案の審議に向けて行われた6月4日の参議院国土交通委員会に、全建総連から参考人として小倉書記次長が出席し、法案に賛成の立場から意見陳述と質疑に応答しました。5月21日の衆議院国土交通委員会での参考人質疑に続いての対応となり、両院での参考人質疑の出席は全建総連として初の対応となりました。なお、法改正に伴う参考人質疑については、1961年の建設業法改正以来、2回目となります。
 6月6日の参議院国土交通委員会では、建設業法、入契法が全会一致で採決され、全建総連の意見を踏まえた附帯決議も全会一致で採決(下記に全文掲載)。7日の参議院本会議で可決・成立しました。(全建総連ホームページ「お知らせ」欄の6月7日付書記長談話を参照して下さい。)
 6月11に開かれた国土交通委員会で、品確法・入契法・測量法が全会一致で採決され、付帯決議も全会一致で採決(下記に全文掲載)。12日の参議院本会議で可決・成立しました。

 建設業法及び公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(2024年6月6日参議院国土交通委員会) 全文

政府は、本法の施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講じ、その運用に万全を期すべきである。

一 建設技能者の賃金水準の向上の観点から、その実態把握に努め、建設工事の労務費に関する基準が適切に設定されるよう努めるとともに、下請事業者まで適正な労務費が確保されるよう、民間発注者からの理解も得られるように積極的に働きかけ、周知徹底を図ること。また、そのために、建設業者による材料費等記載見積書および労務費の基準の活用を促進すること。

二 建設技能者への適切な賃金の支払いをデジタル技術の活用などにより確認する仕組みの検討を進め、建設技能者の賃金水準について、可及的速やかに全産業平均並みの引上げを達成するとともに、全産業を上回る賃金上昇率についても、可能な限り前倒しで達成できるよう必要な措置を講ずること。

三 資材価格高騰などによる労務費へのしわ寄せを防ぐ観点から、建設業者による労務費などの内訳明示や適切な価格転嫁のための請負代金額などに影響を及ぼすリスク情報の通知といった新たな制度に基づく取り組みが進むよう、発注者から下請事業者まで建設工事請負契約の当事者に理解しやすく制度を周知するとともに、ひな形やガイドラインの策定などにより円滑に導入できる環境を整備すること。

四 注文者の地位の優越により、立場の弱い建設業者が価格高騰などに伴う不利益やリスクを一方的に被ることがないよう、独占禁止法に基づく適切な措置など、実効性のある対策を講ずること。

五 労務費を著しく低く見積ることなどによるダンピングや賃金上昇の妨げとなる不適切な契約を是正するため、建設Gメンの機能や体制を一層強化するとともに、国土交通省のほか、公正取引委員会や厚生労働省、中小企業庁といった関係機関が一丸となり、監視や指導を徹底すること。また、どのような行為が指導などの対象となるのか、受発注者に事例などを示し、取引適正化にかかる取り組みの実効性を担保すること。

六 労働者の有する知識、技能等についての公正な評価に基づいた適正な賃金の支払いを実現するよう、労働者の適切な処遇の確保のために講じられた措置の実態を広く把握した上で公表し、必要に応じて建設業者を指導するとともに、建設キャリアアップシステムの就業履歴の蓄積や能力評価判定を推進するための必要な措置を講じること。

七 建設現場で工事に従事する者が週休二日を確保できる工期の設定が民間工事においても実現されるよう、下請事業者の実態や契約変更を含む建設工事の請負契約の締結状況を十分に調査し、その結果を踏まえ、工期に関する基準の在り方の見直しなど必要な措置を講ずること。特に、後工程を担う設備工事業などにしわ寄せが及びやすい実態にかんがみ、前工程で工程遅延が発生し適正な工期が確保できなくなった場合には、当事者が対等な立場で遅延理由を明らかにし、工期や請負代金額の変更を協議できるよう必要な対策を講ずること。あわせて、週休2日の確保が賃金に与える影響を把握し、収入の減少につながらないよう必要な取り組みに努めること。

八 本法の施行に伴い適正な工期や請負代金額の設定が図られることにより、工期の長期化や費用の負担増が生じ得ることについて、産業界や労働界といった実務に携わる者の意見を広く聴取した上で、国民全体の理解を得る取り組みを推進すること。

九 技術者の専任要件については、建設工事の適正な施工が確保されることを前提にしつつ、建設工事に関する技術の進展や関係団体の意見も踏まえて、必要に応じて見直しを行うこと。

十 建設業では、就業者の高齢化が進行しており、将来を担う若年入職者の確保および定着が喫緊の課題であることから、いわゆる3K職場のイメージを払しょくし、建設業を若者から選ばれる魅力的な産業とするために、ICTを活用するなど、長時間労働の是正といった働き方改革などに必要な取り組みの一層の強化を官民一体となって進めること。

十一 外国人労働者も含めた建設業に従事するすべての労働者の賃金水準が適正なものとなるよう努め、建設業における外国人労働者の増加が、業界全体の賃金水準の底上げに影響を及ぼさないようにすること。

公共工事の品質確保の促進に関する法律等の一部を改正する法律案に対する付帯決議(2024年6月11日参議院国土交通委員会)全文

 政府は、本法の施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講じ、その運用に万全を期すべきである。

一 公共工事の契約変更手続きの透明性を確保するため、まずは国土交通省直轄工事において契約変更前に必要に応じて受発注者以外の第三者が適正性をチェックし、その意見を反映、公表する新たな仕組みを導入すること。あわせて、それ以外の公共工事における契約変更についても導入を検討すること。

二 令和6年能登半島地震を踏まえ、災害対応に不可欠な地域建設業を維持するため、地方公共団体において適切な競争参加資格や発注単位の設定が行われるよう必要な措置を講じるとともに、その担い手を確保するため、予定価格や工期の適正な設定などの諸施策が効果的に実施されるよう、発注関係事務の実施実態および公共工事に従事する者への賃金の支払いや休日の付与の状況の把握を進め、必要な措置を講じること。

三 地域建設業者が災害時の地域の守り手としての役割を果たしていくためには、担い手を確保し建設機材を維持することが必要であることにかんがみ、過疎地域などをはじめとする地方公共団体に対する公共事業の施行についての支援などを検討すること。

四 民間事業者などによる新技術の研究開発を促進するとともに、公共工事などにおいてその活用を推進すること。特に、脱炭素化に対する寄与の程度などを考慮して総合的に価値の最も高い資材や工法などを適切に採用するため、がインドラインの作成や取り組み事例にかかる情報収集などを行うこと。

五 国の総合評価落札方式における賃上げ加点措置については、公平性や地域建設業などの維持の観点からその影響を調査し、他制度との兼ね合いを考慮しつつ運用を検討すること。

六 測量士などを中長期的に確保するため、就業状況の実態把握を行うとともに、資格制度のさらなる改善について早期に検討を進めること。