2024.03.28

解説(3-②)「改正建築物省エネ法・建築基準法 4号特例の縮小」

リフォーム分野でも影響大

屋根及び外壁の改修に関する取扱いの事例

〇対策が求められるリフォーム・リノベ分野
 ここまでは、主に新築住宅のことです。しかし、リフォーム・リノベ分野への影響の方が大きいとも言われています。
 これまで、ほとんどの木造住宅(4号建築物)では、大規模な修繕や大規模な模様替えの工事でも、確認申請が不要でした。しかし、今回の法改正で、主要構造部(壁・柱・床・梁・屋根・階段)の1種以上を過半に渡り修繕または模様替えする場合には、確認申請が必要になります。今まで木造2階建て等の住宅のリフォーム等で建築確認が必要となるのは、10㎡以上の増築など、限られた場面でしかなかったことからすると、とても大きな変化です。
 注意点として、確認申請が必要になるのは主要構造部の過半に手を加えるものであり、リフォーム全般で確認申請が必要になるわけではありません。水回りや内装・外装のリニューアルなどは当てはまらず、柱を数本入れ替えたとしても建物の柱の過半にならなければ確認申請は不要です。
 このように比較的規模の大きなリノベ工事やスケルトンリフォーム、屋根の下地材からの全面ふき替え等は確認申請が必要になっていきます。
 しかし、この主要構造部の過半の定義はまだ不明瞭な部分もあることから、判断基準が示されていくことを期待しています。

〇市場の混乱を防止するために
 国交省住宅局は、2月8日、「屋根及び外壁の改修に関する建築基準法上の取扱いについて」を発出しました(図3)。この中では、屋根ふき材のみの改修やカバー工法による改修、外壁の外装材のみの改修、外壁の内側からの断熱改修などは、大規模な修繕や模様替えに当たらず、確認申請は不要と明記しました。
 こうした判断基準が示されたことは重要ですが、カバー工法による重量増に対する構造の安全性や防災規制等の適合性など課題も山積です。完了検査を受けていない建物をリノベする際の手続きの合理化、遡及適用の考え方の整理など、たくさんあります。
 全建総連は、関係団体とも連携して国交省住宅局と定期的に意見交換を行い、リフォーム市場の混乱と停滞を防止するための対策を全力で求めています。