政府が3月に発表した「同一労働同一賃金」と「長時間労働規制」を柱とする「働き方改革実行計画」は、これまで36協定の特別条項の上限時間を制限する告示の対象外とされてきた建設業も、労働基準法が改正された5年後の適用ではありますが、罰則付きの時間外労働上限規制の導入を掲げ、8月28日には「適正な工期設定等のためのガイドライン」も策定されています。
そうしたなか、労働環境や安全衛生対策の今後のモデルとしていくとする東京オリンピック・パラリンピックのメイン会場でもある新国立競技場建設で、地盤改良工事の現場監督補であった男性社員(当時23歳)が月200時間を超える残業による過重労働が原因で自殺に至ったことが明らかになり、建設業での長時間労働に関する労働環境の実態が浮き彫りなりました。
こうした状況を踏まえ、日本建設業連合会では、時間外労働の上限を段階的強化する自主規制を導入することを決定しています。建設業の働き方改革に関する協議会でも「官民一丸となって建設業の長時間労働の是正や週休2日の確保に向けた取り組みを強力に推進していく」と示されたことは、長時間労働の改善に向けて一歩前進となるものと考えます。さらに、現場では土曜閉所や4週8休閉所のモデル現場を増やすなど、具体的な取り組みも始められています。
しかし、中小零細企業や一人親方などを含む建設業界では、依然として工期に迫られての長時間労働や、重篤度の高い産業であることに変わりなく、担い手確保に向けても大きな課題であります。
長時間労働問題の解決に向けては、建設業の働き方改革に関する協議会で掲げた①建設工事従事者の収入が減らない方策をとった週休2日制の導入、②民間も含めた適切な工期設定による休日の拡大などを、早期に実効性ある取り組みにしていくことが求められます。
全建総連としても、すべての建設工事従事者の労働安全と労働環境の改善を目指すため、引き続き、業界全体ともに建設業の働き方の改善に向けた取り組みをすすめいきます。
お知らせ
書記長談話 長時間労働是正を含む建設業の働き方の改善にむけて
全国建設労働組合総連合 書記長 勝野圭司