最高裁判所第1法廷は、2021年1月28日、建設アスベスト訴訟(京都第1陣)において、国の申し立てた上告について、受理しない決定をしました。
また建材メーカーについても、10社のうち、2社(クボタ、ケイミュー)を除き、8社(A&A、太平洋セメント、ニチアス、日鉄ケミカル、大建、ノザワ、MMK、日本バルカー)につき、上告棄却・不受理と決定し、建材メーカーの責任が確定しました。
特に一定のシェアがあった建材メーカーの連帯責任(共同不法行為責任)が最高裁で確定したのは初めとなり、今後の被害者救済に大きく影響を与えるものです。
今回、責任が認められた建材メーカーは、吹付材、ボード等の石綿含有建材を製造・販売していました。いずれも石綿の危険性を知りながら、自らの利益追求を優先し、適切な警告義務を尽くさずに製造・販売を続けた責任が明らかにされました。
また、東京第1陣の最高裁決定に続き、一人親方等を含めた屋内作業従事者に対する国の責任を認めた判断が再び確定しました。とりわけ、吹付作業者との関係では、1972(昭和47)年10月1日から国の責任を認めた京都第1陣の大阪高裁判決が確定した点で、さらに一歩前進となりました。
もっとも、京都第1陣訴訟の大阪高裁判決が認めていた屋外作業従事者(屋根工)に対する国、建材メーカーの責任については、最高裁で見直される可能性があります。この点については、2021年3月22日に弁論が開かれることになっており、原告の主張を強く訴えていくこととなります。
今回の成果をかち取ることができたのは、建設アスベスト訴訟原告、その家族、遺族原告の皆さんをはじめとした、関係者の皆様のご尽力、全国の仲間のご協力のおかげです。改めて、皆様に感謝と敬意を表します。
原告及び全ての建設アスベスト被害者を救済し、今後新たに出てくる被害者を救済するためにも、建設アスベスト被害の根絶と、基金制度の創設に尽力すべきです。
全建総連は、建設アスベスト訴訟原告、その家族、遺族原告と連帯し、建設アスベスト早期解決と被害者の救済を求め、一層の支援・協力をしていくことを表明します。
2021年2月3日