2024.06.07

お知らせ

改正建設業法・入契法の成立に関する書記長談話

 3月8日に閣議決定された、「建設業法」「公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律(入契法)」の改正法については、6月7日の参議院本会議において全会一致で可決・成立しました。また、衆参両院の国土交通委員会において、全建総連の意見が反映された附帯決議については、全会一致で可決されました。「公共工事の品質確保の促進に関する法律(品確法)」は、来週にも可決・成立の見込みです。

 全建総連は、衆参両院の国土交通委員会の参考人質疑において、着実かつ実効ある運用等について意見陳述を行いました。法改正に伴う参考人質疑において両院での出席は初となります。今回の担い手3法の改正は、現場に従事する仲間の要求が反映された、建設従事者の処遇改善施策の具体化として、画期的なことといえます。

 建設業法等の改正では、労働者の処遇確保を建設業者に努力義務化し、中央建設業審議会が「労務費の基準(標準労務費)」を作成・勧告、著しく低い労務費や著しく短い工期による見積り、見積り依頼の禁止、原価割れ契約の禁止を受発注者の双方に導入することで、適切な労務費等の確保や賃金行き渡りを担保するとしています。公共・民間工事のいずれにも適用され、下請契約も含めて対象となり、建設業に新しい取引のルールが導入されることになります。

 仕組みとしては、全建総連が運動を進めている「公契約法・条例」と同様の考え方が示されており、賃金原資となる労務費の削減等によるダンピングを防止し、適正な現場従事者の賃金・単価を確保、下支えするために有効な方策として、評価できるものです。

 発注者保護から制定された建設業法に、「公正な評価に基づく適正な賃金の支払」「労働者の適切な処遇を確保」との労働者の賃金支払い・処遇確保について明文化されたことは、建設業法の体系の中で労働政策・社会政策等の実現が図られることとなります。

 そして、建設業法に明文化された「労働者が有する知識、技能その他の能力についての公正な評価」については、全建総連が不退転の決意で取り組んでいる建設キャリアアップシステム(CCUS)のさらなる活用の方向性が示されたものであり、技能者の処遇改善と連動させるための布石が打たれたものです。改めて、住宅分野を含む全現場での普及促進、レベル判定の推進等の環境整備が必要です。

 持続可能な建設業に向けて、組織の総力を結集して取り組んだ「建設労働者の雇用改善、担い手確保・育成に関する100万人国会請願署名」については、119万6248筆の署名を集約すると共に、363人の議員から賛同を得て、国会へ提出しました。

 全建総連は、現場従事者の大幅な賃金・単価引き上げ、処遇改善、担い手確保・育成のために、100万人国会請願署名運動の成果を力に、担い手3法改正を好機と捉え、全国の仲間が一丸となって、さらなる取り組みを進めていくことを、ここに表明します。

2024年6月7日
全国建設労働組合総連合
書記長 勝野 圭司